天神の系譜の奇妙なオムニバス
「どうしたんですか、騒々しいですね…あら?」

階段の下で感動の再会を果たすリュートと蒲公英の姿を見つけ、リプニーが微笑む。

「おかえりなさいリュート君、天神学園はどうでした?」

「散々だよ、リプニーばばあ」

リュートは顔を顰める。

「ほら見ろこの肩の傷。刀でブッ刺されたんだぜ?」

「まぁまぁ」

「何コロコロ笑ってんだ、笑い事じゃねっての」

「フフ、ごめんなさい。でもね」

リプニーは笑顔を見せる。

「そうやって生傷絶えなくても、いつも楽しそうにしている辺り、シオン君やティーダ君によく似てるなって思って…」

「…ま、悪くはねぇけどな」

フンと鼻を鳴らすリュート。

「リュート君、大浴場で湯治をしたらどうですか?薬草の成分を含んだ湯を引いてありますよ?」

「お、そうか、んじゃそうすらぁ」

今も尚ワンワン泣きじゃくる蒲公英を宥めて引っぺがし、リュートは大浴場の方に向かった。

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