天神の系譜の奇妙なオムニバス
侍女の中に、あのような少女は居なかった。

リュートの知らないうちに、離宮に客人が来ていたのだろうか。

まさか侵入者?…という割に、敵意は全く感じられない。

「月見か?」

何となく、声をかけてみる。

小柄なその少女は、リュートの方を見た。

流し目が、少しドキリとさせられる。

「まぁね」

そう一言呟いただけ。

少女は多くは語らない。

「寝ないのか?」

「眠くないし」

「睡眠とらねぇと体によくねぇぞ?」

「眠くなったら寝るし」

「……」

「……」

会話のキャッチボールを続ける気はないらしい。

鬱陶しいからあっち行け感まる出しだ。

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