天神の系譜の奇妙なオムニバス
連続突き『百舌連』で、幾らか傷を負わされた。

深手にならぬうちに下がる伊蔵。

強引な攻めに転じない辺り、よく心得ている。

「甘ちゃんどもに絆されたという事だろう?戊辰大戦の英雄が牙を抜かれたものだ」

「人殺しの何が英雄ですか」

再び構える沖田。

「偉い人を殺したら英雄ですか?自分にとって敵を殺せば英雄ですか?沢山殺せば英雄ですか?」

「応!」

懐から出した苦無を投擲する伊蔵。

それを弾いた沖田に生じた隙に、伊蔵は鉤爪付きの左拳を繰り出す!

「御首級をとり、手柄を立てる、それが戦での生き方!敵の命即ち報奨金の種よ!」

拳が、沖田の胸板にめり込む!

それを歯を食い縛って耐え。

「否!」

沖田は大典太を振り下ろした!

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