天神の系譜の奇妙なオムニバス
その北斎が、次にこの寺子屋を継がせようと思っているのが、あの少女だ。

丹下 龍(たんげ りょう)。

渾名は『お龍』。

異国の血が混じっているのか、淡い髪色、小柄で勝気な娘。

元号が明治になってから、警視庁に配属された剣客警官に憧れ、自作の警官制服を纏っている。

「私はどんな奴でも肩身の狭い思いせずに暮らせる国にする為に、剣客警官になりたいんだ、にゃはっ」

いつも口癖のように言うお龍が指す『どんな奴でも』とは、身分や生まれだけの問題ではない。

人間であろうと、なかろうと、という意味も含まれている。

北斎は思うのだ。

やはり、太古に丹下の血筋に封じられた臥龍が、お龍にそんな思いを抱かせるのだろうか、と…。

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