【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「私こそ、大切なことに気づかせてくれて、ありがとうございました」


沙耶は、生きることを望んだ。


なら、俺は、それの手助けをする。


雪さんは、笑って。


「流石、健斗の娘だな……」と、言った。


大切な人を亡くしてわかる、命の重み。


彼は、力を使ってまで、生き続ける。


拒むことが不可能である、死から、逃げるのだ。


もっと、命の重みを知るために。


仲間を守るために。


愛した妻の遺言を、代わりに叶えるために。


「中に入れ。千歳たち以外は、集まっている」


玄関に入ると、速水さんに案内された。


案内された先……それは、大広間。


ふらつく沙耶の腰に手を添え、襖を開ければ。

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