【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「なんだ、じゃあ、もう、両想いか」
「いや、付き合ってはない」
目を見開き、そういった千夜の言葉は、とりあえず否定した。
「はあ?」
「正確には、互いに利益のある、契約カップルというものだな」
訝しげな視線。
理解できないのは、判る。
「好きなものは、手にいれればいいだろう」
俺は、望んだものは、絶対に手にいれてきた人間だったから。
それを知っている千夜は、違和感しか感じないのであろう。
「大体、沙耶が、俺のことを好きなわけがないだろ?」
精々、契約カップルの相手か、親しい友達くらいだ。
だって、一生、恋をしないと言っていたから。
好きになってほしいのは、事実。
でも、それは俺の押し付けがましい想い。
だから、俺は、沙耶が困ったときにどんなことでも手を貸せるように、傍にいるんだ。