【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……お前、阿呆か」
「……それを言うな」
千夜の呆れた視線を受け止めつつ、視線をズラせば、薫たちと目があった。
「よぉ」
「薫、お前、桜のとこにいたのか?」
「ああ。……沙耶、大丈夫か?」
「多分。……だが、問題は襲ったやつらだ。車の中で聞いたところ、青年が沙耶に嗤ったらしい。『殺すつもりはなかったんだけど……君が手に入らないから』と、言ったらしい。恐怖で動けなくなった沙耶に手を伸ばし、青年は、自分を思い出させようとしたらしいんだが、そこに現れた女の人がそれを阻んだ、らしい」
「女の人?」
「名乗らなかったから、誰かは判らない。ただ、その女の人は、青年に向かって、『……草志の大事な女で、相馬の恋人じゃ。誰が、貴様に渡すか。研究材料じゃろうが、なんじゃろうが、沙耶は渡さぬ。妾が還ってきたからには、そなたの好きにはもう、させん、しっかり、今までの分も仇を討たせてもらう』と、言ったと、沙耶は言っていた」
その言葉に、顔色を変えた面子。
俺も、引っ掛かっていて。
「また……か……」
薫が、呟く。