【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



巫女を危険から遠ざけるため、柚香たちを連れ、外が見える部屋に入り、全員を見ていたときに現れた瀧。



彼は、昔と変わらずに、傍には恋人をつれていて。


流霞や彩佳の生まれ変わりだと思えるその女の名は、弓、というらしい。


俺はそれに気づいて、すぐに隣を見た。


隣では、瀧の強さに感心している巫女たち。


「瀧、格好いいじゃん。弓ちゃんも、可愛い~」


その中で、素直な感想をのべる夕梨。


やはり、彼女に気づけと言うのは、無理っぽい。


そもそも、水樹が教えた記憶であり、持って生まれた記憶ではないから、魂の色を見分ける力はないらしい。



その為、素直な感想をのべることができているのだ。


知らない方が幸せ、か……


夕梨に教えてやるべきか悩んで、考え直す。


頭のなかで響いたのは、俺を思って言った、姉の言葉。


(知らぬが仏って、言葉もあるしな)



無理に教えることはないだろうと、足を止め、振り返る。


柚香に敷いて貰った布団の上では、沙耶が心地よさそうに眠っていて。


ホッと、安堵する。


沙耶は、死なせない。


愛した女を二度も失ってなるものか。


必ず、守り抜く。


だが……沙耶は、自分を後回しに人を気にかける奴だから、優しいからこそ傷つきやすいから、沙耶を死なせないと約束した俺は、他の巫女たちを守り抜かなければならない。



傷を隠すのがうまい最愛の人を守り抜くには、まず、最愛の人が大事にする人を守り抜くことが最善である。

< 278 / 759 >

この作品をシェア

pagetop