【完】☆真実の“愛”―君だけを―2

宝剣携え、巫女は愛を詠う

■相馬side□





かつて、この世界に来た大燕鳳帝国の皇女であり、後の焔棠家の初代・双璃桜は七本の宝剣を手にしていた。


それらは、現在でいうところの神宮寺家に宝蔵され、誰の目にも触れることはなかった。



“白桜“、“恵桜”、“紅桜“、“月華“、“昇華“、”陽華”、”陰華”、”千華”。



誰の手も寄せ付けず、鞘から抜くことが出来なかった宝剣……それらには名前があり、大燕鳳帝国で“戦姫”(せんひめ)、または、“天顕姫”(あまつひめ)と呼ばれた五人の女傑、その他、特別な人間にしか、その剣は抜けなかった。



その中で、月姫、沙羅、紅鈴は“白桜”を使い、“紅桜”は紅鈴の孫の紅華(こうか)と、杏麗(あんれい)が使った。……と、いうか、抜けなかっただけなんだが。



そして、この五人が“戦姫“、”天顕姫”と呼ばれ、伝説化された人間だ。



“恵桜”は、“戦姫”と呼ばれた、月姫、沙羅、紅鈴の配偶者、燕鳳、隆舜、燎飛にしか、抜くことが出来なかった。その為、“白桜“と”紅桜”と“恵桜”を操るものはいなかった。


月姫は沙羅→紅鈴の順で、現在は夏翠に転生。


燕鳳は隆舜→燎飛の順で、現在は飛鷹に転生。


その為なのか、偶然なのか、今、二人は婚約者だ。


そして、三本の他、四本は、誰も寄せ付けはしなかった。


本当に、指一本も。


ただ、一部を除いては。


その一部には、三本のうちどれかを抜ける人物は全員当てはまっており、それ以外にこの七本に触れられたり、抜けたりした人物は、崇められた。


何故なら、その七本の剣は、神だから。


剣にも意思があったから、なんの繋がりもなく、抜けた人は崇められたのだ。


今、目の前にはそれに該当した、誰も抜けなかった剣を意図も簡単に抜き、それで戦い抜いた前世での親友が微笑んでいた。


颯爽と現れ、薫達のピンチを救った人間ー現世名、周瀧。

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