【完】☆真実の“愛”―君だけを―2




『お前を愛したことが、俺の罪なら……』


『そなたを愛したことが妾の罪なら……』


燕鳳の手をとれず、俯いた月姫の頬に手を添え、上向かせた燕鳳は、月姫に微笑んだ。


『堕ちるところまで、共に堕ちていこう?』


その瞬間、恐らく、月姫の中でなにかが壊れた。


『好きじゃ……』


『ん?』


『そなたのことが……好きじゃ……好きじゃ!好き……燕鳳、そなたを愛してる――……すまぬ、すまぬの。こんなこと言って……それでも好きなんじゃ!愛しているのじゃ!そなたが妾を護るために戦うと言うてくれたことが嬉しゅうて……お願いじゃ、燕鳳……妾を一人にしないで……そばにいてほしいのじゃ……』



泣きじゃくって、すべてを漏らす月姫。


俺らが記憶上を通して、初めて見た、月姫の泣き顔。


そんな月姫を面倒くさいとも思わず、月姫の涙を拭って、燕鳳は、愛しそうに笑う。


『ああ、そばにいるよ。ずっと一緒だ――……』


義理堅い男で、心の内が読めない奴だった。


それでも、月姫といるときは、優しい顔をしていた燕鳳。


『……本当かの?』


震える声で問う、月姫。


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