【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
『ああ』
迷いのない、言葉。
月姫は燕鳳に抱きついて、泣きながら言った。
『このようなこと二度としてはならぬぞ。妾を護るためでも駄目じゃ!よいか?命を無駄にしてはならぬ!』
月姫を救うため。
それだけのために、命を懸けて、戦った燕鳳。
『勝ったんだし、いいだろ』
『だめじゃ……!』
百人の敵相手でも、燕鳳は楽しそうに、剣を振るっていた。
『はいはい、分かってるよ』
苦笑する燕鳳の腕のなかで、月姫は涙を流す。
流し続ける。
『良かった……そなたが無事で……』
泣き虫だった、月姫。
己の役目を知ったのち、泣かなくなった月姫。
そんな月姫を泣かせた、燕鳳。
――邪魔ができるわけなかった。
無理矢理にでも引き離して、天に月姫を連れ帰るなんて、俺らにはできなかった。
だって。
『……すまぬの……そなたにも愛するものが居るというのに……妾のせいで刃をまじわえねばならぬなど……それでも、妾を護るために戦うって、言うてくれたことが嬉しいのじゃ……すまぬの、ほんに……ありがとうの……そなたも死ぬかもしれないのに……わかっているのじゃ!それでも、燕鳳。妾と共に地獄の果てまで行ってたも……っ!!」