【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「相馬には屈強な護衛がたくさんいるのよ?」
それこそ、二人が勝てないほどの。
どうして私を愛してくれるの?
私のせいで二人は父親を失ったんだよ?
勇兄ちゃんの父親である久貴は、私をお腹に宿していたお母さんを見るために残ったお父さんのかわりに出かけて、還らぬ人となった。
あのとき、私がお腹にいなければ、久貴は死ぬことはなかったのに。
(ああ、結局……)
私は、相馬を守りたい。
私がもしこの子達を生んで死んだら、相馬は重い十字架を背負って生きてくことになる。
それだけは嫌だから、別れを告げたの。
相馬を殺すなんて、お兄ちゃん達ならやりかねない。
けど、そんなことをしたら、相馬を思う人はみんな悲しむし、お兄ちゃん達は罪を背負うことになる。
そんな、人生、誰が楽しいの?
そんな、人生、誰が望むの?
そんな、人生、誰が作るの?
……私だ。
今も、昔も、私は人の人生を狂わせる。
止めるなら、この手で。