【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


お兄ちゃんの用意したカツラを被り、眼鏡をかければ、あら不思議。


別人に見えるんだな、これが。


病室から出て、彼らの横を通りすぎていると。


「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」


夏翠が錯乱していた。


嗚呼、事態が急変したんだな。


そうは思っても、なにもできない。


始まりの巫女でも、力はないから。


泣かないで。


そう言いたかったけど、言えなくて。


その光景を見ていると、美人さんとすれ違う。


思わず、目で追えば。


夏翠を囲んでいた皆が、私の方を見た。


「っ……」


カツラを深く被り、バレたかドキドキしていると、


「私のせいだ!沙耶も、桜も、千夏さんたちも!私が殺したようなもんだ!」


と、夏翠が泣き叫んだ。


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