【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


そう思ったときには、俺はもう、自然と口を開いてた。


「なぁ、相馬」


戸惑う相馬を見て、俺は尋ねる。


「お前は沙耶を、愛しているのか?」


その答えは、


「当たり前だ。御園とかけられたら、沙耶を選ぶくらいに大事な女。だから、探しているんだろ……?」


ほぼ、諦めと絶望の映る瞳で、俺を見る相馬。


もう、教えてあげようか。


ここまで、思っているのなら。


「ここで、問題です。みんな、考えろよ?」


「はぁ?頭でも逝ったか、クソジジイ」


今日は少し調子がいいから、孫の言葉にも動じない。


「昔々、美しい女がいました。その女は我慢強く、泣かない女の子でした。心優しい子で、自分のことよりも人のことを優先する彼女は、ある人間に求婚されます。泣く泣く、嫁いでいった女は、すぐに死にますが……その時、こう言ったそうです」


俺が聞いたことのある、話。


「さぁ、何て言ったでしょうか?」


見渡すと、彼らは首を捻った。


「……死にたくない?」


「いや、違う」


桜の答えは、沙耶の願いだ。


だが、答えではない。

< 444 / 759 >

この作品をシェア

pagetop