【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
そう思ったときには、俺はもう、自然と口を開いてた。
「なぁ、相馬」
戸惑う相馬を見て、俺は尋ねる。
「お前は沙耶を、愛しているのか?」
その答えは、
「当たり前だ。御園とかけられたら、沙耶を選ぶくらいに大事な女。だから、探しているんだろ……?」
ほぼ、諦めと絶望の映る瞳で、俺を見る相馬。
もう、教えてあげようか。
ここまで、思っているのなら。
「ここで、問題です。みんな、考えろよ?」
「はぁ?頭でも逝ったか、クソジジイ」
今日は少し調子がいいから、孫の言葉にも動じない。
「昔々、美しい女がいました。その女は我慢強く、泣かない女の子でした。心優しい子で、自分のことよりも人のことを優先する彼女は、ある人間に求婚されます。泣く泣く、嫁いでいった女は、すぐに死にますが……その時、こう言ったそうです」
俺が聞いたことのある、話。
「さぁ、何て言ったでしょうか?」
見渡すと、彼らは首を捻った。
「……死にたくない?」
「いや、違う」
桜の答えは、沙耶の願いだ。
だが、答えではない。