【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「あ、もう、退院しちゃったかな……?」


桜は、ただ、友達になりたいと思ったのだろう。


桜がそう思うのは、ほぼ、奇跡的で。


桜は基本、他人に興味を持たないのだから。


だから、薫だって驚いているのだ。


自分以上に他人に興味を持たない桜が、そう言ったことに。


「俺たちが、認めさせられた女……」


ふと、蒼生が呟いた。


「まさか……」


気づかれただろうか?


時刻を見ると、午後9時を越えていて。


この病院の面会時間は8時までだが、今日だけは院長の権限で許されていたのだった。


夜勤の看護師さんと、病院に泊まっているという直樹。


全力で沙耶を守らせてもいいが、はてさて、どうするか。

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