【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「相馬!?」
直樹さんが驚いたような声をあげる。
だから、俺は微笑んだ。
「守護聖と巫女の関係を舐めないで下さい」
光る、沙耶の手首。
浮かび上がるのは、巫女の証。
同時に俺の瞳の色と、髪の色は変化して。
守護聖と同じ姿となる。
衣服は変わっていなくても、見た目が変わってしまうくらい力を使う。
生まれ変わって、初めてした行為だった。
そんなこと、今までする必要もなかったから。
でも、沙耶相手では、話が違う。
「……っ、沙耶」
手を絡め、唇を重ねた。
どんどん冷たくなっていく、唇だった。
ザワザワとざわめく看護師たちを横目に、俺はただ、ただ、沙耶に生気を送った。
「信じられないわ……」
看護師たちの記憶は、消さなければならない。
この力は、人外だ。
だからこそ、易々と見られるわけにはいかない。
そう思っていると、ふわり、と、美桜の手が、看護師たちの目元を覆った。
そして、力を使用する。
「忘却」
記憶を、消したのだ。
全員ぶんの記憶を、彼女は消してくれた。