【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「はぁ、はぁ……」
発作を起こす沙耶。
唇を重ねてみるけれど、今までのようには、発作は止まってくれなくて。
ぼんやりとした目を俺に向けた沙耶は、首を小さく横に振った。
苦しげに細められた、瞳には大きな涙が溜まり、キスだけではどうしようもないと察した俺は、すぐに酸素マスクを沙耶につける。
すると、沙耶が微かに呟いた。
「……っ、たし、いいから……こ、ども……」
“私のことはいいから、子供を助けて”
そう、沙耶から訴えられても、俺は頷くことはしなかった。
沙耶も子供も助ける。
そのつもりだった。
「……ヤバイな、頭が見えてきてる」
医師として白衣を着、沙耶を診ていた直樹さんが呟く。
「破水もしているし……ねぇ、分娩室は空いてる?」
看護師に確認を取りながら、看護師たちは走り回る。
俺はその間、沙耶の手を握って、願うことしかできなかった。