【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
なんて、ザマなのだろうか。
これが、運命か。
夕蘭と同じように、沙耶を失うことが俺の運命で、俺の前から永遠に去るのが、沙耶の運命か。
「……っ、」
死なせない。
死なせたくない。
伝えていないことがたくさんあるのに。
どうして、お前は俺を……
「つっ……」
口の中に広がった、鉄の味。
……思い詰められたせいで、噛んでしまったのか。
この行為は、さほど痛くはない。
当主との長年の戦いの最中で負ってきた傷の方が深く、血が多く出て…………血?
『えっ、これを飲むの?飲んだら、治るの?嘘でしょ?』
過去の記憶のなかで、夕蘭が言った。
『あんたの血を飲めば、不治の病でも治るってこと?なら、バレてしまったら、一滴も残らず、搾り取られるね』
おかしそうに笑っていた、夕蘭。
(……その手があったか)
飲ませればいいのだ。
俺の血を。
根本的には、なにも変わっていないのだから。