【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


……でも、現世は違う。


全身全霊で愛しても、


本能のままに愛したとしても、


例え、彼女が“壊れて”も。


俺は護ることが出来る。


彼女を愛し抜くことが出来る。


「沙耶……」


沙耶の顔にかかった髪を掻き上げ、酸素マスクをはずした。


そして、俺は静かに沙耶の唇に、額に、キスを落とす。


口に流し込むのは、真っ赤な命の証。


(沙耶……)


彼女の細すぎる身体を腕に包んだ。


「っ……ここで、出すしかない」


俺たちのその行為を見て、すぐに消毒などを行い始めた直樹さんは、俺を見た。


「そのまま、沙耶ちゃんに命を送り込め。沙耶ちゃんを救えるのは、お前だけなんだから」


沙耶を深く気にかけてきた、沙耶の主治医。


直樹さんは、


「本当は……危険、だけど……」


と、沙耶の回りの除菌や整理を始めた。

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