【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
和子は、お父さんのお父さん……自分の祖父であった、御園圭介(けいすけ)の第一夫人である人との間に生まれた子供……御園稜(りょう)の娘だった。
第一夫人と圭介さんの仲は良くなかったらしい……と、いうか、第一夫人が我が儘な人で、自分の父親に無理言って、圭介さんの妻になったようなものだった。
圭介さんは、美形だった。
それはもう、一度見たら、忘れないくらいに。
そして、何でも出来た。
五か国語ペラペラで、会社を運営しながら、裏の世界の不祥事を請け負い、喧嘩も恐ろしく強く、柔道、剣道、合気道、空手道……すべての有段者だった。
そんな人の妻になれば、それは、もう、鼻高々だったんだろう。
高飛車で、我が儘で、面倒だと、祖父に遠ざけられていた第一夫人は、ある日、祖父に言った。
『私を妻にしてください』
……伝え聞きだから、確かなことはわからないけれど。
兄さん達が把握している真実と、俺が知る真実は、違うところがいくつかあって。
本を読みまくるがゆえ、見つけてしまった、祖父の隠された日記。