【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
■春馬side□



あれはもう、40年以上前の、昔の話。


僕は、御園家の当主であった御園陽介と、その愛妻であった、御園千波の間に三男として生まれた。



生まれた季節が春だったからと、僕は春馬と名付けられ、『春を届ける馬』として、自分の名前を気に入っていた。


そして、歯車が狂い出したのは、俺が10歳の時。


舞っている、女を見つけた。


その女こそ、御園和子。


当時は、まだ、14歳の女の子だった。


自分とどういう関わりなのか知りたくて、俺は本を読み漁った。


書庫にあった本だって、次から次へと読んだ。


その中で、記述……と、いうか、家系図と、簡単なその時代の説明文の書いてあるノートまがいを見つけた。


達筆すぎて読めない部分もあったけれど、和子と自分の関係を知るのは、十分なもので。


御園家では自分で学び、身に付けるのが決まりだった。


そうしないと、いや、できないと。


何万、何億の人間の上に立つ資格はなかったから。


しかし、人の関わり方、生まれつき持つ力の使い方などは、すべて、生まれてきた瞬間から、男は5年、女は7年学ぶのが決まりだった。


だから、外には出られなかったし、それでも、外よりも俺は家のなかで本を読んだり、ピアノを弾くのが楽しかったから、その生活は全然、苦ではなかった。

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