【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



「呼吸器!」


エレベーターを降りると、再び、悪夢がよみがえった。


耳をつんざいた、その声に。


「姫宮院長をお呼びして!」


バタバタと、人が駆ける音。


(まさか……)


恐怖で身がすくんだ。


沙耶が死んだときは、自分も死ぬ気がする。


(沙耶を喪えば、俺は……)


目の前が、真っ暗になった。


異変が起きたのが、沙耶だと確認する必要はなかった。


でも、直感でわかった。


5月8日。


この日に沙耶が死ぬのなら。


俺はやっぱり……


『うちにはるくんを返して、っ、返しなさいっ!』


殴られ続けた、頬が、お腹が、痛む。


『このっ、そんな目でうちをみらんといて!』


心臓の、音が、聞こえる。


『うちが悪いんよ!やからって……そんな、責めんでや!』


声が、聞こえる。


「……相馬?」


闇に引きずり込まれる。


ダメだとわかっているのに。


抗えない。


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