【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
〈身を委ねれば、楽になる〉
……気づいている。鬼の自分。
沙耶を愛せば
愛すほどに思い出す。
自分の本性を。
「ぁ……」
「そう!」
昔の愛称で、そう呼ばれた。
何年ぶりだろうか。
そう遠くない、過去の気がする……
ヤバイ、呑み込まれたら、ダメなのに。
苦しい、苦しい、苦しい。
「そう!自分を保て!俺みたいに、堕ちるのはダメだ!」
肩を揺さぶられ、俺は首を横に振った。
気分が悪い。
「…………父さん、あんた、自分を勘違いしているよ」
「え?」
「あんたは、闇に囚われちゃいねぇ……そりゃ、刹那的に囚われたことはあったとしても、基本が綺麗な人間だから……そして、母さんはあんたの名を呼んでいた」
「っ……」
「春馬を返せって。何回か、言われたことがある」
「なっ……」
もし、母さんが父さんの名前を直接、呼んでいたら?
今と違う、未来があったんだろう。
でも、それも過去で。