【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
◇
◆
◇
「……何度言ったら、わかるの!?」
病院に着き、廊下を歩いていると、そんな声が聞こえた。
この声は。
「……朝倉さん?病院だから、静かにしないと……」
部屋に入り、カーテンの中を覗き込んだ。
そこで、朝倉さんの腰を抱き寄せ、笑っていたのは……どこかで見たことのある顔。
「……止めようか、総一郎」
「えー?久しぶりにあったんだけど」
「病人が、入院中にすることじゃない」
「……そんなことを言ったら、俺、いつになったら、結婚できるのさ」
女と見紛う儚げな美貌の持ち主で、長い黒髪を緩く束ね左肩に垂らし、入院服を着た彼は不貞腐れた。
「朝倉さん、まさか……」
「婚約者です。……一応」
「一応、って酷くない?やっと、アメリカで手術を終えて、こっちに帰ってきたのに。あっち、厚化粧ばっかで嫌い」
笑顔で辛辣な言葉を吐くのが得意なこの男こと総一郎は、相馬の兄であり、御園家の長男。
病弱で、相馬が代わりに跡を継ぐことになっているのだが……御園総一郎(28)は、本当に昔から病弱であり、弱々しい子供だった。
『何で、僕はみんなと遊べないの?』
よく、窓の外を覗きながら、彼はそう言っていたが。
「人生ってさ、楽しまなきゃ損だよね。だから、ナースコールで緋奈子を呼び出して、婚姻届にサインして?ってお願いしたら、仕事中だって怒られたの」
「……ナースコールで、朝倉さんを呼び出さないでください」
「……直樹さん、相変わらず、固いねー」
「君が緩すぎ」
「え、そう?」
こんなにグダグダで、あれなのに……
「私、仕事に戻るから」
これでいて、御園で一番強いから、手に負えない。
相馬でさえ、叶わない相手。
「あーあ。緋奈子に逃げられちゃった」
残念そうに見せかけて、全然、残念そうに見えない総一郎は、ため息をつく。
「相馬は結婚したのになぁ……」
検討違いのことをいいながら。
◆
◇
「……何度言ったら、わかるの!?」
病院に着き、廊下を歩いていると、そんな声が聞こえた。
この声は。
「……朝倉さん?病院だから、静かにしないと……」
部屋に入り、カーテンの中を覗き込んだ。
そこで、朝倉さんの腰を抱き寄せ、笑っていたのは……どこかで見たことのある顔。
「……止めようか、総一郎」
「えー?久しぶりにあったんだけど」
「病人が、入院中にすることじゃない」
「……そんなことを言ったら、俺、いつになったら、結婚できるのさ」
女と見紛う儚げな美貌の持ち主で、長い黒髪を緩く束ね左肩に垂らし、入院服を着た彼は不貞腐れた。
「朝倉さん、まさか……」
「婚約者です。……一応」
「一応、って酷くない?やっと、アメリカで手術を終えて、こっちに帰ってきたのに。あっち、厚化粧ばっかで嫌い」
笑顔で辛辣な言葉を吐くのが得意なこの男こと総一郎は、相馬の兄であり、御園家の長男。
病弱で、相馬が代わりに跡を継ぐことになっているのだが……御園総一郎(28)は、本当に昔から病弱であり、弱々しい子供だった。
『何で、僕はみんなと遊べないの?』
よく、窓の外を覗きながら、彼はそう言っていたが。
「人生ってさ、楽しまなきゃ損だよね。だから、ナースコールで緋奈子を呼び出して、婚姻届にサインして?ってお願いしたら、仕事中だって怒られたの」
「……ナースコールで、朝倉さんを呼び出さないでください」
「……直樹さん、相変わらず、固いねー」
「君が緩すぎ」
「え、そう?」
こんなにグダグダで、あれなのに……
「私、仕事に戻るから」
これでいて、御園で一番強いから、手に負えない。
相馬でさえ、叶わない相手。
「あーあ。緋奈子に逃げられちゃった」
残念そうに見せかけて、全然、残念そうに見えない総一郎は、ため息をつく。
「相馬は結婚したのになぁ……」
検討違いのことをいいながら。