【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「相馬が結婚?何の話だ?」
あいつはまだ、独身だ。
婚姻届にサインすることなど、あるはずがない。
沙耶が眠っているのに、書きようがないのだから。
「……あれ?おかしいな……してないの?結婚」
「してないと思うけど……だって、相馬が愛している人間は……」
総一郎に沙耶のことを伝えようとした、その時。
「先生!黒橋さんが……っ!」
「異変が起こった?すぐ、行く。……ごめん、総一郎、また、あとでね」
看護師がかけてきて、沙耶の変化を知らせた。
俺にできることは、すでに明確にしてある。
沙耶ちゃんが出産さえ終えてくれれば、何も憂うことはなかった。
だって、そのぶん、彼女に時間はできたわけだから。
「黒橋……黒橋……うーん、と……大樹?沙耶?」
急いでいた僕は、気づかなかった。
総一郎が何かを知っているような顔で、黒橋家の二人の名前を繰り返し呟いていたことに。