【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……突入から、はや過ぎやしないか?沙耶」
孫の名前を呼び、藤島は嗤う。
沙耶は、この頃、ユイラさんに似てきた。
時が経つほどに美しくなる、沙耶。
「大樹?」
藤島の声が耳を貫く。
「突然の訪問者で驚いているのかい?……ふ、沙耶は何のためにここへ?」
この男は権力のためなら、何だってする。
自分の権力を保つためだけに、人の命などを簡単に奪うのだ。ここでもし、俺が否定したら、自分を育ててくれた沙耶の両親や、心春が危ない。
わかっている。
俺の判断で、人が死ぬかもしれないこと。
それが怖い。
認めてる。俺は、臆病だ。
愛する人間をまともに手に入れられずに、無理矢理、自分のものにした。
そして、その後に襲ってくる幸福感。
あのときの日々を思い出すだけで、自分が、自分の中に眠る狂気が怖い。
「……大兄ちゃんを取り戻すために決まってるでしょう?」
藤島の質問に、沙耶は正直に答えた。
「そうかい」
「……後継者が必要なら、私がなるわ」
そして、とんでもない発言をする。
つい、この間、結婚したばかりの女には見えない。