【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……お前が、か?」
「ええ。なってあげる。そしたら、大兄ちゃんを解放してくれるでしょう?お母さんも、勿論、そこにいる大事な私の従姉妹も」
心優が目を見開いた。
彼女は弱い。
俺と同じで、抗えない。
抗う術を知らない。
そんな中で、沙耶は抗う。
沙耶は強い。その強かさは、ユイラさん譲りか。
「心優まで……?」
「あら、何か問題?」
「心優は結婚させる手筈なんだよ」
「誰と?」
「それは、これから決める」
「じゃあ、良いじゃない」
けろりと言い、俺のもとに歩いてくる沙耶。
その強さが、俺も欲しかった。
「勝手はよしなさい!沙耶!!」
祖父が、名を呼んだ。
その声に、沙耶はゆっくりと振り向く。
「お前は、何も知らない。勝手なことはするな」
厳しいようにいう祖父のその言葉は、どこまでが本当だろうか。……否、すべて、嘘なのだろう。
「勝手なこと、じゃないわ?大兄ちゃんの人生は、大兄ちゃんのもの。心優の人生も、心優のもの。使う道がないのなら、一端、私にかしてくれても良いじゃない?心配はしないで。絶対に、会社は潰さないから」
祖父の怒りと対等に向き合える、妹。
「因みに……私が知れないことなんて、何もないの」
沙耶は凛と言い放ち、艶然と微笑む。
先程の心優とは違う、暖かな微笑み。