【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「……お前が、か?」


「ええ。なってあげる。そしたら、大兄ちゃんを解放してくれるでしょう?お母さんも、勿論、そこにいる大事な私の従姉妹も」


心優が目を見開いた。


彼女は弱い。


俺と同じで、抗えない。


抗う術を知らない。


そんな中で、沙耶は抗う。


沙耶は強い。その強かさは、ユイラさん譲りか。


「心優まで……?」


「あら、何か問題?」


「心優は結婚させる手筈なんだよ」


「誰と?」


「それは、これから決める」


「じゃあ、良いじゃない」


けろりと言い、俺のもとに歩いてくる沙耶。


その強さが、俺も欲しかった。


「勝手はよしなさい!沙耶!!」


祖父が、名を呼んだ。


その声に、沙耶はゆっくりと振り向く。


「お前は、何も知らない。勝手なことはするな」


厳しいようにいう祖父のその言葉は、どこまでが本当だろうか。……否、すべて、嘘なのだろう。


「勝手なこと、じゃないわ?大兄ちゃんの人生は、大兄ちゃんのもの。心優の人生も、心優のもの。使う道がないのなら、一端、私にかしてくれても良いじゃない?心配はしないで。絶対に、会社は潰さないから」


祖父の怒りと対等に向き合える、妹。


「因みに……私が知れないことなんて、何もないの」


沙耶は凛と言い放ち、艶然と微笑む。


先程の心優とは違う、暖かな微笑み。


< 690 / 759 >

この作品をシェア

pagetop