【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「何で、お前が……ここに……」


相馬の背後を指差し、言った。


「――失礼。通してもらいますね」


沙耶と同じ、ストレートの長い黒髪。


「……もう、やめましょう?お兄様」


漆黒の瞳。


柔らかく微笑む女の人は、祖父を「お兄様」と呼んだ。


「……多喜子、どうして……」


「お兄様がなさることはすべて、わたくしの為でした。恥ずかしながら、それを嬉しいと感じていた私も、異常だったんでしょう。でも、そんなわたくし達の身勝手さは、アイラとユイラを不幸にし、孫である心優や大樹、沙耶までもを傷つけました」


「でも……っ、お前を守るためなら……っ!!」


「……知ってます。お母様から、わたくしを守り、愛してくれたのは。でも、それの犠牲になる人が多すぎた。わたくし達のせいで、貴方までも狂ってしまった。申し訳、ありません……」


淑やかな美人。


白い面を深く下げる、彼女。


「14で貴方と出逢い、52年……貴方のことを見守ってきました。お母様が亡くなり、15年……あなたは非道なことをしすぎた」


「……っ」


「孫に訴えられ、警察に身を委ねることになっても、おかしくないことをして来ました。全ては、わたくしを守る為だけに……」


多喜子と呼ばれた女性は、俺のもとへ来て。


「大樹、心優、沙耶。今まで、本当に申し訳ありませんでした。全ては、わたくしのせいなのです。不甲斐無い、わたくしを許してください」


深く、頭を下げる。


これが、真実か。

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