【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「沙耶、お前すげぇな」


「え?」


その様子が嬉しくて。


相馬と並んでみていると、大兄ちゃんが駆け寄ってきた。


「母さんに会えたし、義父妹にも会えた。死んだと思っていた、雅弘さんにも会えたし……じいさんも、悪い人じゃなかったな」


「フフッ、そだね?疑っていたのが、申し訳ないくらい……それにしても、本気で愛は人を狂わせるものだよね」



ただ、紀一さんに愛されたかった美喜子さんは、愛する紀一さんの心のなかに死んだあとですらも、ずっといる親友が許せなかった。


だから、妃さんに似た娘を養子に迎え、紀一と結婚したのだ。


そして、偽りの愛を得、満足できなかった彼女は、養子に迎えた多喜子さんを虐待した。


それこそ、おもちゃで遊ぶように、毎日、毎日。


それを見た、妃さんと紀一さんの息子の祖父が、それを救おうとし、全ては始まった。


「お祖父ちゃん、大兄ちゃんや私を立派だ、いい娘だって言ったけど……違うよね。何よりも、お祖父ちゃんが偉大な人だよ」


強い、強い、人。


そんな人を、私は別に知っている。


横を見れば、相馬は優しく微笑んでいて。

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