偽装新婚~イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない~
鈴ノ木さんの視線、挙動、その他諸々から察するに、彼は私たちを『受付に座る女その一、そのニ、その三……』としか認識していない。
ーーただひとりをのぞいては。
(あっ、まただ)
私は視線を感じて、顔を上げた。さりげなく周囲を見渡すと、視線の主はすぐにわかった。
受付横のちょっとした待ち合いスペース。そこから、鈴ノ木さんがこちらを見ているのだ。
だが、彼が見ているのは自分ではない。私が彼の視線に気がつくとき、それはいつも華さんが隣にいるときだ。
彼は華さんを見つめているのだ。
先輩である華さんは、そんな視線には気がつきもせず、黙々と受付業務をこなしていた。
(華さん、そこらへんの小学生女子よりよっぽど鈍いからな〜。そんなわかりづらいアプローチじゃ、一生発展しないですよ)
私は心のうちで、鈴ノ木さんに語りかけた。
そもそも彼が華さんに向ける眼差しは、恋い焦がれているといった風情のものではない。わけもわからず、ただ気になって仕方ない。そんな感じなのだ。
(百戦錬磨のモテ男っぽいけど、案外純情なのかな〜)
私は視線を鈴ノ木さんまから華さんへと戻した。そして、小さくため息をついた。
(憧れの男が明らかに自分に興味持ってんのに、なーんで気づかないかなぁ?私なら即行動で、一年以内には寿退社コースなのに)
ーーただひとりをのぞいては。
(あっ、まただ)
私は視線を感じて、顔を上げた。さりげなく周囲を見渡すと、視線の主はすぐにわかった。
受付横のちょっとした待ち合いスペース。そこから、鈴ノ木さんがこちらを見ているのだ。
だが、彼が見ているのは自分ではない。私が彼の視線に気がつくとき、それはいつも華さんが隣にいるときだ。
彼は華さんを見つめているのだ。
先輩である華さんは、そんな視線には気がつきもせず、黙々と受付業務をこなしていた。
(華さん、そこらへんの小学生女子よりよっぽど鈍いからな〜。そんなわかりづらいアプローチじゃ、一生発展しないですよ)
私は心のうちで、鈴ノ木さんに語りかけた。
そもそも彼が華さんに向ける眼差しは、恋い焦がれているといった風情のものではない。わけもわからず、ただ気になって仕方ない。そんな感じなのだ。
(百戦錬磨のモテ男っぽいけど、案外純情なのかな〜)
私は視線を鈴ノ木さんまから華さんへと戻した。そして、小さくため息をついた。
(憧れの男が明らかに自分に興味持ってんのに、なーんで気づかないかなぁ?私なら即行動で、一年以内には寿退社コースなのに)