偽装新婚~イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない~
華さんは、いい人だ。時々、その鈍さにイラっとくるときもあるけど、なんだか憎めない人なのだ。
最初はルックスも並・能力も並で、なんで彼女が受付配属なのか疑問に思ったくらいだったけれど、気がつけば一番の仲良しになっていた。
受付嬢という女ばかり集団のなかで、彼女はみんなのささいな不満やちょっとした諍いをふんわりと受け止めてくれる緩衝材のような存在だった。
(華さんももうすぐ三十路だしねぇ。ここは恋愛マスターの名にかけて、私がお膳立てしてあげますか!)
即行動が信条の私は、業務には一切関係ない、営業部と受付との懇親会をさっそく開催することにしたのだった。
私の話を、彼は穏やかな笑みを浮かべながら聞いていた。
「なるほどね〜。影のキューピットは美香ちゃんだったわけか」
「ていうか、我が社のアイドルをよその社長令嬢にとられちゃうなんて悔しいじゃないですか!殿堂入り間違いなしの大横綱ですよ」
私は飲み干した生ビールのジョッキを、ドンとテーブルにたたきつける。
「あぁ。あの社内の独身の男を格付けしてるって噂の……」
「品がないのは自覚してますけど、男性陣もいまどき『お嫁さんにしたいランキング』なんてやってるんですから、目くそ鼻くそですよ」
「……鼻くそって」
彼、松島さんは顎を撫でながら、苦笑する。
最初はルックスも並・能力も並で、なんで彼女が受付配属なのか疑問に思ったくらいだったけれど、気がつけば一番の仲良しになっていた。
受付嬢という女ばかり集団のなかで、彼女はみんなのささいな不満やちょっとした諍いをふんわりと受け止めてくれる緩衝材のような存在だった。
(華さんももうすぐ三十路だしねぇ。ここは恋愛マスターの名にかけて、私がお膳立てしてあげますか!)
即行動が信条の私は、業務には一切関係ない、営業部と受付との懇親会をさっそく開催することにしたのだった。
私の話を、彼は穏やかな笑みを浮かべながら聞いていた。
「なるほどね〜。影のキューピットは美香ちゃんだったわけか」
「ていうか、我が社のアイドルをよその社長令嬢にとられちゃうなんて悔しいじゃないですか!殿堂入り間違いなしの大横綱ですよ」
私は飲み干した生ビールのジョッキを、ドンとテーブルにたたきつける。
「あぁ。あの社内の独身の男を格付けしてるって噂の……」
「品がないのは自覚してますけど、男性陣もいまどき『お嫁さんにしたいランキング』なんてやってるんですから、目くそ鼻くそですよ」
「……鼻くそって」
彼、松島さんは顎を撫でながら、苦笑する。