シンデレラLOVERS

芹華視点

大切な親友に彼氏が出来た。

優しくて思いやりがあって、何事も一生懸命な純粋なイイコ。


自慢の親友の彼氏がわたしはめちゃくちゃ気に入らなかった。


もちろん、嫉妬とか疎外感とかそんなんじゃない。


相思相愛で彼女を大切にしてくれる相手ならきっと、わたしは手放しで喜んで応援したと思う。


残念ながら彼女に目をつけてきたのは、ルックスだけはピカイチだけど中身がとことん嫌なヤツ……。



真面目な彼女が人生で初のサボリを決行したのを目ざとく見つけ、それをネタに一ヶ月限定で付き合えなんて……ワケのわからない要求をしてきた。


それを鵜呑みにして甲斐甲斐しくそいつの言いなりになってる彼女が見てられなかった。


熱でフラフラになりながら作ったお弁当を代わりに届けた時に初めて対面した時も、日菜琉が熱を出したことなんてまるで知らない様子だった。


聞く話聞く話で彼女を軽んじた扱いをして、挙げ句の果てには目の前で別の女の子に乗り換えたっていう……本当に最低なヤツ。



そんなわたしにとっては最低なヤツでも、日菜琉にとっては忘れられない彼氏なようで。



約束の一ヶ月を目前に、一週間早い別れを迎えてからはずっと元気がなかった。


そんな日菜琉のことを気にかけていたのが、親友のわたしだけじゃないことをわたしは知っていた。
< 110 / 115 >

この作品をシェア

pagetop