シンデレラLOVERS
「善雅の奴、体育の授業中に熱出してぶっ倒れちゃったんだ」
終礼が終わってしばらくした時だった。
5組の教室の前の廊下で、中に居た日菜琉を呼び出す彼を見つけた。
華やかで綺麗な顔立ちの有宮くんと違って、落ち着いた爽やかな雰囲気をした彼の親友。
有宮くんの補習を知らずに待ちぼうけを食らわされていた日菜琉に声をかけてくれたり、元カノ登場で居たたまれなくなっていた日菜琉をその場から連れ出してくれたり……。
何かと日菜琉を助けてくれた人。
そして今、何故か倒れたらしい有宮くんの元に、日菜琉を向かわせたのはきっと……二人がやり直すキッカケを与える為。
こうして二人を密かに支えてくれていた影の功労者である城崎くんが、日菜琉の話を聞きながらずっと気になっていた。
彼が日菜琉を助けるのは、城崎くんが彼女のことを好きだからだと思う。
「保健室で寝てるから、様子見てあげてよ。起きたら俺、連れて帰るし」
なのになんで城崎くんは、わざわざ日菜琉を有宮くんの元に向かわせるようなことをするんだろう。
城崎くんの後押しで、日菜琉は笑顔で彼にお礼を告げて保健室の方へと走って行ってしまった。
その背中を見送る城崎くんの横顔は、切ないような……でも、どこか安心したような表情をしていた。
日菜琉の恋が報われるのを喜んでるような……でも、何かを諦めたような表情に思わずわたしは突き動かされる。