恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。


「……すまない、心配をかけたな」


そう言ってまた、笑顔の裏に君の悲しみが隠れてしまう。

本当の心を雅臣先輩は私に見せてくれない。

だからって、このまま無視できるわけもなく──。


「……今日は、このまま手を繋いで帰りましょう」


気づいたら、自分でも驚くくらい図々しい提案をしていた。

恥ずかしいけれど、雅臣先輩をほっとけない。
その心に寄り添いたかった。


「ありがとう、清奈……行こうか」

「はい……」


今にも泣き出しそうな顔をしているくせに、普段通りを装う雅臣先輩に胸がひどく痛む。

けれど私は、核心に触れる事なく微笑んだ。

今踏み込んだら君を壊してしまいそうで……怖かったんだ。

私たちは、手を繋いだまま歩き出す。

せめて、私の手から伝わる温もりが君の心を温めてくれますように。

笑顔が戻りますように、そう願いながら。


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