恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「大丈夫……ですか?」
心配になって、雅臣先輩に一歩近づく。
すると、それを制すように手の平を前に出す。
「力になれたみたいで……よかった」
良かったというわりには、反応が薄い。
雅臣先輩の事だから、もっと嬉しそうに言ってくれると思っていたのに、私の期待とは正反対の顔をしていた。
そして、消え入りそうな声で「でもきっと、清奈を救ったのは……」という彼の呟きが風に乗って私の耳に届く。
「雅臣先輩……?」
目の前の雅臣先輩が、茜色の光に霞んでしまうような錯覚を覚える。
彼の存在をつなぎ止めなくては。
そう思ったら、咄嗟に手を伸ばしていた。
「清奈……?」
「あっ……すみません、つい」
気づけば、雅臣先輩の手を握っている自分がいる。
そんな突発的な行動に出た自分に戸惑いながらも、その手を離せない。
それどころか、どんどん強く彼の手を握りしめている。
どうしても、この人を引き留めなくちゃいけない。
なにからかはわからないけれど、そんな思いに駆られて、考えるより先に体が動いていた。