恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「それで、お人よしだとどうしてここに来ることになるんです?」
雅臣先輩の予言めいた発言の仕掛けを早く知りたい私は、答えを急かした。
「そんなお人よしが清奈に加入届を返し忘れたことに気づけば、必然と持ち主を尋ねるだろうな。つまりは一見強面の彼だが、善意で動けるいいヤツってことになるな」
──あ、そっか!
加入届けを渡すために放課後、在田先輩は教室を訪ねた。
しかし私がいないとわかり、加入を希望している部活動の名前を見て、古典研究部の部室を訪ねた、と。
「なるほど! なんか雅臣先輩、探偵みたいですね」
「大げさだな、清奈は」
またもや「ははは」と軽く笑う雅臣先輩。
彼はノホホンとしているようで、鋭い。
相手には感じさせないように、よく人のことを見ているのだと思う。
それにしても……。
私は部室の入り口に立つ、在田先輩をチラリと見やる。
在田先輩と目を合わすの、気まずいな。
お互いにそうなのかもしれない。今も現在進行形で、在田先輩とは目が合わないから。