恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。


「けど、すべてを失ってみて気づいた。俺自身が望んでやってきたことなんて、今までひとつもなかったんだって」


あぁ、そうか……失って初めて気づくモノもあるんだ。

私も用意された道や期待、すべてを失ったら、見つけられるのかな……求めている本当の自分を。


「おごれる人も 久しからず
ただ 春の夜の 夢のごとし」


「雅臣先輩……?」


平家物語の一文だろう。授業でもやる有名な古文だからか、すぐにわかった。

けれど、なんで突然?という疑問が浮かんだ私は、小首を傾げて雅臣先輩の顔を見つめる。

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