恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。


「でも俺、古典とかよくわかんねーし、興味もその……」


あ……業吉先輩、昔の私と同じこと言ってる。

あのとき私も、古典に興味がなくて同じことを雅臣先輩に言ったんだよね。

それを思い出しながら、クスリと笑ってしまった。


「部員になってくれるなら、そのままの業吉でいいぞ」


涙目の在田先輩の肩をポンポンと叩いて言った雅臣先輩の言葉は、まるであの日を再現しているかのようだった。

あぁ、なにもかもあの時と同じ。
やっぱりこの人は、昔も今も変わらずに陽だまりのようだ。

だから私も彼と同じように笑顔で、在田先輩に言うことにする。


「廃部寸前なんですよ、この部活! だから、入部してくれるなら猫の手も借りたいくらいなんですよね、雅臣先輩?」


私はそう言って、雅臣先輩に意地悪に笑って見せた。すると彼は、また「たはは」と困ったように笑う。


「まぁ、そういう事だ。それに……」


この後の言葉は、私にも予知できる。

だから、ふわりと笑って先回りするように言った。

< 66 / 226 >

この作品をシェア

pagetop