恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。


「それ……」

ふいに声が聞こえて、私は「え?」と顔を上げた。声の元を探して周りを見渡すと、隣の物部さんと目が合う。

今の声って、物部さん……?

教室のざわめきに掻き消えてしまいそうなほど小さい声で、空耳かと思った。


「それって……和歌!?」

「え! う、うん……」


食い気味に言われて、私は思わずのけぞる。

今までの物部さんからは想像もできないくらい、大きな声だったからだ。

何人かのクラスメートも物珍しそうに、こちらを見ている。

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