恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。


「あっ……ごめんなさい」


物部さんは恥ずかしそうに俯くと、両手で握りしめたスマホの画面へ視線を落とす。

そういえば物部さんってよくスマホいじってるよね……何を見てるんだろう。

気になるけれど、仲良しというわけでもないのに突然聞いたりしたら失礼か。

そう思った私は、本へ視線を戻したのだった。




昼休み、購買から教室に戻る途中のことだった。

ふと、部室でお昼ご飯を食べていた雅臣先輩のことを思い出す。

今日も部室にいるのかな、朝の事も聞きたいし……。


雅臣先輩のことを考えると、私の足は自然と部室の方へと向く。

そして、廊下の突き当りにある階段前まで来た時だった。

< 75 / 226 >

この作品をシェア

pagetop