イジワル部長と仮りそめ恋人契約
「わあ……」
きらびやかなロビーを通り抜けレストラン内に足を踏み入れた瞬間、思わず感嘆のため息が漏れる。目の前に広がるその場所には、エレガントで非日常な空間が広がっていた。
シャンデリアとキャンドルのあたたかな灯りが照らす店内は、高級感のあるヨーロピアンな調度品で揃えられている。ここで食事をしている誰もが、料理だけでなく空間そのものを楽しんでいるのがわかった。
「車だからなー。飲み物はペリエにするか」
「あ、じゃあ私も」
「別に、俺のことは気にせずアルコール頼んでもいいけど?」
案内された席でメニューを広げた悠悟さんが、きょとんとした表情をテーブルの向こう側から見せてくる。
「私、お酒そんなに強くないので。飲むのは好きですけどね」
「へぇ。持ち帰られやすいタイプだ」
苦笑しつつ答えれば、悠悟さんは再びメニューに視線を戻してさらりとそんなことを返す。
真顔で言うものだから、一瞬意味がよくわからなかった。けれどもすぐに理解して、つい恨めしげな視線を向ける。
「も、持ち帰られたことなんて、ないですから」
「まあ、そうだろうな。それはわかる」
「なんですかもう……!」
私はぷりぷり怒っているというのに、悠悟さんは余裕の微笑。
まあ、悠悟さんくらい顔面偏差値が高くてエリートでおまけに外面がいい人だと、たいそうおモテになるんでしょうけど!
きっとこれまで、数々の女性を泣かせてきたに違いない。うん、きっとそうだ。
ブツブツひとりごとのようにつぶやけば、メニューから顔を上げることもせず心外とばかりに答える。
「おいおい、ナメんなよ。面倒なことにならないように、うまく遊んできたに決まってるだろ」
「うわあ……もっと最低ですね……」
「その最低男が、今はあんたの彼氏だけどな」
あっさり言って、悠悟さんがメニュー表を閉じた。どうやら注文するものを決めたらしい。
「俺、Wメインのフルコース。志桜は?」
「あ、私もそれで」
「よし。決まりだな」
悠悟さんがウェイターにオーダーを伝えている間、なんとなしにその姿を眺める。
服装に合わせてか、今夜の悠悟さんは軽く前髪を上げてセットしていた。初めて見たけど、そんな髪型も似合っていてとても魅力的だ。
……『彼氏』、だって。
先ほど彼が何気なく使った言葉に、つい口もとがにやけそうになってしまうのをなんとか堪える。
今までずっと縁がなかったその単語。期間限定とはいえ、こうして改めて口にしてもらえるとやっぱり少しくすぐったい。
でも、そのくすぐったさが今はうれしいんだ。
きらびやかなロビーを通り抜けレストラン内に足を踏み入れた瞬間、思わず感嘆のため息が漏れる。目の前に広がるその場所には、エレガントで非日常な空間が広がっていた。
シャンデリアとキャンドルのあたたかな灯りが照らす店内は、高級感のあるヨーロピアンな調度品で揃えられている。ここで食事をしている誰もが、料理だけでなく空間そのものを楽しんでいるのがわかった。
「車だからなー。飲み物はペリエにするか」
「あ、じゃあ私も」
「別に、俺のことは気にせずアルコール頼んでもいいけど?」
案内された席でメニューを広げた悠悟さんが、きょとんとした表情をテーブルの向こう側から見せてくる。
「私、お酒そんなに強くないので。飲むのは好きですけどね」
「へぇ。持ち帰られやすいタイプだ」
苦笑しつつ答えれば、悠悟さんは再びメニューに視線を戻してさらりとそんなことを返す。
真顔で言うものだから、一瞬意味がよくわからなかった。けれどもすぐに理解して、つい恨めしげな視線を向ける。
「も、持ち帰られたことなんて、ないですから」
「まあ、そうだろうな。それはわかる」
「なんですかもう……!」
私はぷりぷり怒っているというのに、悠悟さんは余裕の微笑。
まあ、悠悟さんくらい顔面偏差値が高くてエリートでおまけに外面がいい人だと、たいそうおモテになるんでしょうけど!
きっとこれまで、数々の女性を泣かせてきたに違いない。うん、きっとそうだ。
ブツブツひとりごとのようにつぶやけば、メニューから顔を上げることもせず心外とばかりに答える。
「おいおい、ナメんなよ。面倒なことにならないように、うまく遊んできたに決まってるだろ」
「うわあ……もっと最低ですね……」
「その最低男が、今はあんたの彼氏だけどな」
あっさり言って、悠悟さんがメニュー表を閉じた。どうやら注文するものを決めたらしい。
「俺、Wメインのフルコース。志桜は?」
「あ、私もそれで」
「よし。決まりだな」
悠悟さんがウェイターにオーダーを伝えている間、なんとなしにその姿を眺める。
服装に合わせてか、今夜の悠悟さんは軽く前髪を上げてセットしていた。初めて見たけど、そんな髪型も似合っていてとても魅力的だ。
……『彼氏』、だって。
先ほど彼が何気なく使った言葉に、つい口もとがにやけそうになってしまうのをなんとか堪える。
今までずっと縁がなかったその単語。期間限定とはいえ、こうして改めて口にしてもらえるとやっぱり少しくすぐったい。
でも、そのくすぐったさが今はうれしいんだ。