好きの海に溺れそう
駅と家の間はしばらくそのまま手を繋いでいた。



マンションの前に着いて手を離す。



夏樹があたしの顔を見た。



「チューしていい?」

「どーぞ」



マンションの前で堂々と路チュー。



誰も見てないと思う。



…と思ったら、ばっちりマンションから出てきた悠麗に見られてしまった。



「邪魔しちゃってすいませ~ん。イチャイチャしてうらやましーい」

「うるさい、悠麗。こんな時間にどこ行くの」

「彼女んとこ。てか待ち合せのコンビニ。これから俺ん家来るから」

「えっ、今から来るの? なんで!?」

「うっせえな。じゃ、待たせてっから」



そう言って悠麗は歩いて行ってしまった。



なんなの…。



「弟? あっ、幼なじみだっけ」

「弟。やめてよ幼なじみなんて。あんな可愛くない幼なじみ嫌」

「あはは、そっか」

「そうだよ。あたしの幼なじみはもっと可愛い」



海琉の話で思い出す。



海琉の様子を早く見なきゃ…。



「じゃね。また~」

「ん。次はやらせてね」

「はいはい。てかこんなとこでそんなこと言うな」



夏樹と別れてマンションに入る。



ふう…。今の会話、管理人さんに聞こえてはいないだろうか。



そう思いながら急いであたしの家の階までエレベーターで上がる。



そのまま家にも入らずにまっすぐ海琉の家に向かった。



「あれ、杏光ちゃんどうしたの?」

「海琉いる?」

「部屋にいるよ」



海琉の家にあがり、海琉の部屋に上がり込む。



海琉は部屋でぼーっとしてた。
< 17 / 350 >

この作品をシェア

pagetop