好きの海に溺れそう
海琉の肩に頭を乗せながら缶に口をつける。



「もう一個杏光にあげるものあるんだー」

「まじ? なに?」



海琉が、さっきカイロが入ってたポケットからまた何か出した。



手のひらサイズの、ブランド物の小さな箱。



「開けて?」



言われるまま開けると、革のキーケースだった。



大人っぽくておしゃれ…。



「キーケース用意しないとって思ってたの~!」

「知ってるよ」

「これで実質毎日海琉と一緒にいられるね!」

「何言ってんの…」



すごく嬉しい…。



海琉の首元に腕を伸ばしてぎゅっと抱きついた。



「そんな海琉くんに、あたしもプレゼントがあります!」

「ん?」



ポケットから新しい鍵を出した。



「はい!」

「これって…」

「うん! 新しい家の合鍵。あたしがいないときでもいつでも来てね」



海琉がその鍵を受け取ってから、あたしの繋いでる手にキスした。



手だけ…?



不満そうに海琉をじっと見たら、伝わったのか、海琉がきょろきょろと周りを確認しはじめた。



それから、照れたような顔を浮かべながら、あたしにキスした。
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