糖度高めな秘密の密会はいかが?
今日だって、社会人になって初めて贅沢したぞって感じのスイートルームを予約するのにも勇気が必要だったし。

もっと安い場所もあったとは思うけれど、有澄が一生懸命に探してくれたから後悔はしてない。

旅行の為に二人で貯めたお金だから、思い出になるなら惜しまない事にした。

「俺は皆が思うより、贅沢もしてないと思う。お手伝いさんの相良の祖父母はいたし、学校も私立のエスカレーター式のそれなりの学校には行かせて貰ったけど…ここまで聞くと御曹司って感じするでしょ?」

「うん、思う。私なんて公立の小中高だったよ。専門学校だってバイトしながらだったし…」

私の想像する御曹司って何だろう?

高級マンションに住んでいて、運転手の送り迎え付きの私立の有名エスカレーター式の学校、食事もフレンチみたいなのかな?

私の御曹司の想像って貧相かな?

「テレビみたいに送り迎えがあったのは小学2年迄で、3年からは一人で小学校まで通ってたよ。
お小遣いも貰いたいならお手伝いしなさいと母に言われ、高校大学は母の会社でバイトしながらだったから勉強が大変だった」

「有澄の話、もっと聞きたい。聞いてもいい?」

「…楽しい話じゃないよ?いいの?」

「嫌じゃなかったら聞かせて。有澄の事もっと知りたいから」

「ゆかり…」

有澄の左手が頬に触れて、顔が近付く。

「駄目っ。話聞いてから!」

雰囲気に流されてキスしたら最後、話が聞けない流れになってしまうから、有澄の口を手で塞いで阻止した。
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