糖度高めな秘密の密会はいかが?
「多分、ですけど…」と言って相良さんが差し出したのは社内の写真入りIDカードのコピー。

あ、この人…忘年会の時に同じ席だった人で、社員食堂脇の掲示板を見ていたら声をかけてきた女の子だ。

「見覚えありますか?」

「はい、忘年会の時に同じ席でした」

「首謀者は通販部の多岐川 七海(たきがわ ななみ)、他にも複数が絡んでいるかもしれません」

「そうですが…」

あの子、多岐川さんていうのね・・・、名前は知らなかった。

日下部さんを狙っている子だし、私が有澄と付き合っているのを知っている人物と言えば、思い当たるのはこの子だ。

先日、会話した時にもトゲトゲしい言い方をされ、チクリチクリと私の心を痛めつけてくれた人物。

正直なところ、これ以上関わりたくなかったのもあり、この事は綾美にも誰にも話さずに、心の内にしまっておいた。

大事になってしまい迷惑をかけて、その上、有澄との関係まで会社中にバレてしまって・・・この先、どうしたら良いのだろう?

事実とは違えど、日下部さんまで巻き込んでしまって・・・。

解決策が見い出せない。

有澄は副社長に就任したばかりなのに、私のせいで責められたり、罵倒されたりして欲しくない。

・・・・・・だとすると、私が出来る事は1つしかない。

「…私、会社辞めますね」

ボソリ、と小さく呟くと二人が一斉に私を見る。

「…聞き間違えじゃないですよね?」

相良さんが聞き返してきたので、

「私が辞めて丸く収まるなら辞めます。副社長にも日下部さんにもこれ以上、迷惑かけ…」

とまで返答したら有澄が今までになく低い声で言った。

「本気で言ってんの?」と。
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