糖度高めな秘密の密会はいかが?
日下部さんとのツーショットを狙っていたに違いない。

逃げ去った人がエレベーターのボタンを押そうとしているので腕を掴み、咄嗟に振り向いた人物は多岐川さんだった。

「離せっ!」

「嫌っ、離さない!話を聞いて!」

「腕痛いんだよ!ふざけんな!お前なんて、すぐ捨てられるんだよ!自惚れてんじゃねーよ!」

「話を聞くまで離さない!お願いだから聞いてっ!」

もうこれ以上、迷惑をかけたくないから声を荒らげて捕まえたまま、話し出す。

「あのね、」と言った時にエレベーターが開いたけれど私はお構い無しに話を続ける。

「私の事が気に入らないなら私だけに攻撃してよ!何で皆を巻き込むの?これ以上、迷惑かけないでよっ」

「痛いです、秋葉さん。副社長、助けて下さい。秋葉さんが言いがかりをつけてくるんですっ」

エレベーターから降りてきたのは有澄。

目の前に有澄が居たのでお迎えに来てくれたのは分かってるけれど、居るからといって話を止める気はない。

多岐川さんに理解して貰おうとは思わないけれど、気持ちは伝えたい。

「…とりあえず、秋葉さんは手を離して落ち着いて。隠れてる夜警さんも出て来て下さいね」

有澄はニッコリと満面な笑顔を浮かべながら、私の手を多岐川さんの腕から引き離す。

自由になった多岐川さんは有澄の後ろにコソコソと隠れる。

壁際に隠れて居た夜の警備員もおずおずと姿を現した。

「私は二股なんてしていないし、皆にメールまでして…日下部さんも副社長も傷付くと思わないの?
多岐川さんの好きな日下部さんが会社中の人に変な目で見られるんだよ?私だったら、大好きな人がそんな風に好奇心だけで、有りもしない事を言われたりするのは耐えられないよ」
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