糖度高めな秘密の密会はいかが?
一目惚れからの成り行き任せで始まった恋だけれど、今はとても大切にしている。

日下部さんにドキドキした日は、今までそんな素振りを見せなかったのに見せられたから・・・と言う事にしておこう。

もう忘れなきゃ、秘密にしとかなきゃ。

その後の私達は仕事に没頭し、お互いに無言。

「日下部さん、予定まで終わりました。帰りまーす。日下部さん…?」

返答がないので近寄ってみると、頬ずえついて寝ていたらしい。

私用のノートパソコンが開きっぱなしで、その横にあったのは手書きの企画書らしきもの。

思わず手に取って見てみると、"新規オープンに向けての転換スタッフ要員"とのメモ書きで、知っている名前は綾美と高橋さんがあった。

私の名前は一覧には見当たらない。

自分の方向にノートパソコンを向けて覗いて見ると、新規設立の輸入雑貨店とあった。

何だろう、これ?───・・・・・・

「勝手に見るな」

「…きゃっ……!?」

ノートパソコンに触れていた手を突然掴まれて、私は驚いて声を上げてしまった。

「日下部さん、これ、何?」

「…お前には関係ない事だ。終わったなら帰るぞ」

『お前には関係ない』と言い切られたら、私は何も言うことなんて出来ない。

だって、その用紙に私の名前など無いのだから───・・・・・・

「分かりました」と言おうとしたら、背後からフラッシュの様な光が薄暗い廊下から見えた。

何だろう・・・?

後ろを振り向いたら小走りで人が過ぎ去るのが見えたので、もしやと思い、私も飛び出す。

「秋葉っ、待て!」って聞こえたけれど、待っていたら逃げられてしまう。

今のは写真に撮られたんだ、きっと。
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