糖度高めな秘密の密会はいかが?
日下部さんの車は、車内の静粛性と制御装置を兼ね備えた五人乗りの今、人気のハイブリッド車。

後部座席にしようか、助手席にしようか迷っていると助手席の扉を開けてくれたので恐る恐る乗り込む。

「…お邪魔します」

仕事かもしれないけれど、日下部さんと車で二人きりってどうなの?

しかも、新車じゃないか・・・。

日下部さんの運転テクニックも気になるし、緊張し過ぎてシートベルトを握りしめる。

あれ?

いざ出発するとギスギス感がなく、スムーズな走行。

駐車場から公道に出ると穏やかな運転で乗り心地がとても良かった。

「日下部さん、今日は怖くないですよ。むしろ、快適です!」

窓から入る春風が気持ちよく、景色も落ち着いて眺めて居られる。

「もう一度、教習所で練習して来たから…って、練習の事は誰にも言うなよ」

「言いませんよ」

ずっとペーパードライバーだったから専用の講習を受けて来たらしく、新車も購入した模様。

車内に広がる新車の香りと爽やかな芳香剤の香りが混ざり合う。

この香り、好きだなぁ。

「ちょっとだけ時間あるから、ランチしよう」

「……はい」

通り道にあったファミレスに寄り、少し急ぎ足のランチタイム。

「珍しいな、紅茶を飲まないなんて…」

「訳あってカフェインレス生活です。たまには暖かいココアも美味しいですよ」

「食事しながら、甘いのを飲むなんて信じられない!」

そう言いつつ、私が気付かないとでも思っているのか、私のサラダにトマトをさり気なく置く。

「今だにトマトが嫌いなんですね」

「嫌いなんじゃなくて食べたくないだけ」

日下部さんはトマトが苦手らしく、いつも私に横流しするか、残す。
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