糖度高めな秘密の密会はいかが?
「…でも、今のところ、良い返事は貰えてない。アイツにとって、天秤にかける物が2つあるから迷ってるんだと思う。お前と同じく寂しいんだって。迷ってるから、お前に言い出せないんだと思う」

"天秤にかける物が2つ"───1つ目が私だとしたら、もう1つは高橋さんだと思うんだ。

バイヤーに興味を持っていたのは何となく知っていた。

色んな国を飛び回る綾美、想像出来なくもないな。

どちらにしても、仕事の出来る女の綾美なら上手く行くはずだ。

綾美の夢なら、背中を押してあげなきゃいけない。

「…高橋さんの名前もありませんでした?」

「あぁ。アイツも誘おうと思っだけど、良く考えたら、企画とか営業は向いてないからやめた。総務部がのんびりしてるからちょうどいい」

確かに…高橋さんはデスクワーク向きの人。

日下部さんは高橋さんが大好きだから、一緒に仕事したかったのかもしれないけれど…拠点が本社なら、いつでも会える。

「…日下部さんはいつ居なくなっちゃうの?」

「…来年の4月には正式に辞令が出るはずだ。まだ企画開発部に所属しているが、しばらくは同時進行」

「そうなんですね…」

来年の4月には違う誰かが部長の席に座るのか・・・。

日下部さんとの言い合いも、綾美とのコソコソした手紙のやり取りも、佐藤さんと隣り合わせのデスクも・・・皆、なくなってしまうんだ。

物事は日々、進化していくけれど・・・別れも付き物だって事だ。
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