糖度高めな秘密の密会はいかが?
皆が居ない未来を考えて涙目になっている自分を見られたくないから、窓の外を眺めている振りをした。

涙がこぼれないように唇をキュッと噛みながら───・・・・・・

予定通りの14時にクライアントのLUPINUSバス株式会社に到着し、商談を終えた。

女子社員にって沢山の入浴剤を頂いた。

アロマバスソルトのパッケージが可愛く、袋を鼻に近づけると本の僅かながら、良い香りがする。

「商談が上手くまとまって良かったですね」

「そうだな…」

頂いた入浴剤を車の後部座席に積み、助手席へ座る。

帰りの車の中は話が弾まず、無言も多かった。

新しい店舗の事とか、本当は聞きたい事も沢山あって、けれども・・・言葉を発する事が出来なくて黙る。

同期の立場として聞けば良いんだろうけれど、今の状況を素直に喜べないから上手く聞き出せない。

新しい門出を応援はしてあげたい、でも頭の中の整理が出来てない。

ブラコン、卒業しなきゃなぁ。

日下部さんに頼らない為にも、部署は別々な方が良いに決まってる。

こんな私でも好きになってくれたなら、今のままじゃ駄目だ。

決断すべき、お別れの時。

「…日下部さん」

「…何?」

しばらくの沈黙の後に話しかけたら、いつになく優しい言い方で聞き返された。

「私、ブラコン卒業しますから、日下部さんが部長じゃなくなっても大丈夫です。お兄ちゃんに頼らなくても頑張ります!」

「……うん、そうしてくれたら助かる。安心して移動出来る。俺が居なくても、お前は1人で歩いて行けるから大丈夫」

言葉を選びながら伝える。

今まで見守っていてくれた分、今度は私が見守る立場に立つ。
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